フランスで子育てするって実際どう?4人育児で感じた日本との違い|在仏日本人が語るリアル(後編)
こんにちは。パリを拠点に、フランスで暮らす日本人の方の生活サポートや住居探し、移住相談、日本企業のフランス進出などをサポートしています。
私はこれまで、フランスで暮らす日本人の方や知り合いの方から、フランスでの生活についてさまざまな相談を受けてきました。その中には、住居や仕事だけではなく、
「フランスで子育てするって実際どうですか?」
「保育園はどうやって探すの?」
「フランスの学校って日本と何が違うの?」
「フランス人の親はどうやって仕事と子育てを両立しているの?」
といった相談もあります。
私自身、フランスで4人の子どもを妊娠・出産し、現在も4人をフランスで育てています。
前編では、フランスで妊娠してから出産、そして産後しばらくまでの経験について書きました。
今回はその続き。
子どもが生まれた後、実際にフランスで子どもを育てていくと、どんなことがあるのか。
保育園、学校、先生との関係、長いバカンス、水曜日、習い事、親の仕事、家族の時間。
そして、「フランスの子育てって、日本と何が違うんだろう?」と、私自身が感じてきたことについて書いてみたいと思います。ちなみに、私自身は日本で子育てをした経験はありません。ただ、私の姉は日本で4人の子どもを産み、4人を育てています。姉は日本で4人、私はフランスで4人。
そんな対照的な姉妹だからこそ、姉から日本での子育ての話を聞いたり、日本の情報を調べたりする中で、「あ、これはフランスと違うな」と感じることがあります。もちろん、姉一人の経験を日本全体の子育てとして語ることはできません。
この記事では、フランスについては私自身の経験を中心に、日本については姉の経験や公開されている情報を参考にしながら、日仏の違いを考えていきます。
親子

フランスの子育ては「親だけで全部やらない」
フランスで子育てをしていて、私が感じる大きな特徴の一つが、
「親だけで子どもを育てようとしない」
ということです。
もちろん、親が子どものことを大切に思う気持ちはどこの国でも同じです。
でも、保育園、学校、習い事、祖父母、ベビーシッターなど、親以外の人にも子育てを担ってもらうことが比較的自然です。
子どもを誰かに預けることも、
「親が子どもを見ていない」
ということとは必ずしも結びつきません。
親が働くために預ける。
親が休むために預ける。
用事があるから預ける。
そして、子どもは子どもで、親以外の大人や同年代の子どもたちと過ごす。
こうした生活が、比較的早い段階から始まります。
私自身、4人を育てるようになって、この考え方には助けられています。
4人もいると、親だけですべてを完璧にやろうとしたら、まず時間が足りません。

保育園は「妊娠中」から考える
前編でも少し触れましたが、フランスで出産後にcrèche(保育園)を利用したい場合、妊娠中から申し込みについて考える必要があります。
「赤ちゃんが生まれてから探せばいい」
と思っていると、少し遅いことがあります。
パリの場合、区によって具体的な申し込み時期や手続きは異なりますが、妊娠中から申し込みを始める仕組みがあります。
つまり、
赤ちゃんがまだお腹の中にいる段階で、保育園探しが始まる。
最初に知ったときは、「そんなに早く?」と思う方もいるかもしれません。
でも、出産後に仕事へ復帰することを考えると、確かに早めに動いておく必要があります。
そして、crècheだけが選択肢ではありません。
assistante maternelle(認定保育ママ)や、家庭によってはベビーシッターなどを利用する場合もあります。
家庭の働き方、収入、住んでいる場所、祖父母などのサポートがあるかどうかによって、選択肢は変わります。

学校に入ると、また違ったカルチャーショックがある
保育園を卒業して学校に入ると、また別の「フランスらしさ」が見えてきます。
私自身、子どもたちをフランスの学校に通わせてきて、「日本とは違うな」と感じることがたくさんありました。
特に印象に残っているのが、先生たちの子どもに対する考え方です。
日本では、親が学校のことをかなり細かく把握したり、子どもの学校生活について先回りしてサポートしたりする場面もあります。
一方、フランスでは、
「これは子ども自身が考えること」
「これは子ども自身がやること」
という線引きを感じることがあります。
もちろん学校や先生によって違います。
でも、親がすべてを管理することが必ずしも「良い親」とは限らない。
子ども自身に任せる。
失敗したら、そこから学ぶ。
自分のことは自分でする。
そういう考え方が比較的強いように感じます。

「え?先生はそう考えるんだ」と思ったことも
もちろん、これを「フランスの先生はみんなこう」と一般化することはできません。
私自身、子どもの学校生活を通して、
「え?そこは親が手伝わないんだ?」
「そういう考え方なんだ!」
と驚くこともありました。
日本で育った自分の感覚と、フランスの学校で求められることが違う。
それは、良い悪いというより、教育に対する前提が違うのだと思います。
こうした違いは、フランスに住み始めたばかりの日本人家庭ほど戸惑うかもしれません。
フランスの学校では、「日本だったらこうするのに」という感覚が、そのまま通用するとは限りません。
だからこそ、子どもが学校に入ったら、親も少しずつ「フランスの学校文化」を知っていく必要があります。
水曜日、どうする?
フランスで子育てをする日本人が、一度は頭を悩ませるのが、「水曜日、どうする?」
ではないでしょうか。
フランスの学校では、学校によって違いはありますが、水曜日に通常授業がないケースがあります。子どもにとってはお休みでも、親は普通に仕事があります。では、子どもはどうする?
centre de loisirs(レジャーセンター)を利用する家庭。
習い事に行く家庭。
祖父母に預ける家庭。
ベビーシッターをお願いする家庭。
そして、親が仕事の時間を調整する家庭。
本当にさまざまです。
4人いると、水曜日一日だけでもかなり複雑になります。
誰がどこへ行くのか。
何時に迎えに行くのか。
習い事は誰が連れていくのか。
その間に親は仕事ができるのか。

長いバカンスは、子どもにとっては最高。でも親には課題
フランスの子どもたちにとって、長いvacances scolaires(学校休暇)は大きな楽しみです。
でも、働いている親にとっては、「この期間、子どもたちをどうする?」という問題でもあります。
夏休みだけではありません。年間を通して学校の休暇があります。
centre de loisirsを利用する。
colonie de vacances(サマーキャンプなど)に参加する。
祖父母のところへ子供だけ行く。
家族旅行をする。
親が休暇を取る。
ベビーシッターを利用する。
家庭によって、本当にさまざまです。そして、ここでも「フランス人家庭はみんなこうしている」というものはありません。祖父母が近くにいる家庭と、海外から来ていて頼れる家族がいない家庭では、状況が全く違います。共働きなのか、片方がパートタイムなのか、在宅勤務なのか。それだけでも、選択肢は変わります。

でも、フランス人家庭もみんな同じではない
ここは、フランスで子育てをする上でぜひ伝えたいことです。
「フランス人は子どもを○歳からこうする」
「フランス人はみんなこうやって働く」
というような一つの答えはありません。
私の周りを見ても、本当にさまざまです。
共働きで、子どもをcrècheやcentre de loisirsに預ける家庭。片方が仕事をセーブする家庭。
祖父母のサポートが大きい家庭。ベビーシッターを利用する家庭。子どもがある程度大きくなったら、自分で行動させる家庭。
そして、かなり子ども中心の生活をしている家庭もあります。つまり、「フランス人はこう」ではなく、「フランスにもいろいろな家庭がある」ということ。これは、実際にフランスで長く生活して、いろいろな家庭を見てきたからこそ感じることです。

私自身はどうやって育児をしながら仕事をしているのか
私自身も、完璧にできているわけではありません。子供たちや自分自身の予定を全部きれいに管理できる日ばかりではありません。外での仕事が忙しい時期もあります。子どもに予定外のことが起こることもあります。学校から急に連絡が来ることもあります。そして、親自身にも疲れている日があります。
だからこそ、私は「毎日完璧にやる」ことより、家族全体が長期的に無理なく回ること
を重視するようになりました。全部を親がやらなくてもいい。子どもが自分でできることは任せる。周囲に頼れるときは頼る。
仕事も、子どもの予定も、全部を100点にしようとしない。少しずつそんな考え方になりました。
日本で4人を育てる姉と、フランスで4人を育てる私
ここで、前編でも登場した私の姉の話に戻ります。姉は日本で4人の子どもを産み、4人を育てています。私はフランスで4人。
同じ姉妹で、どちらも4人育児。それでも、話をしていると「そんな違いがあるんだ」と思うことがあります。もちろん、日本の子育てとフランスの子育てを単純に比べることはできません。
住んでいる地域、家庭の経済状況、祖父母との距離、親の働き方などによって、生活は大きく変わります。それでも、姉の話を聞くことで、私は自分がフランスで「当たり前」だと思っていたことを、改めて考えることがあります。
逆に、姉からすると、私のフランスでの話を聞いて「そんなやり方があるんだ」と思うこともあるようです。同じ4人育児でも、国が違えば、親が担う役割や、周囲から受けられるサポート、子どもに求められる自立のタイミングなどが違います。
フランスの子育ては、本当に日本より楽?
では、結局のところ、フランスの方が子育てしやすいのでしょうか?
私の答えは、「楽とは言えない。でも、親だけで全部を抱え込まなくてもいい仕組みや考え方がある」です。
保育や学校、医療など、親を支える仕組みがあります。
子どもを預けることへの抵抗感も比較的少ない。
母親自身の時間や身体を大切にする考え方もあります。
一方で、スタッフ不足を感じることもあります。
学校や行政の仕組みが分かりにくいこともあります。
長いバカンスは、働く親にとっては大きな課題です。
そして、日本人にとっては言葉や文化の壁もあります。
だから、フランスに来れば「子育てが楽になる」とは思いません。
むしろ、「子育ての大変さの種類が変わる」という表現の方が近いかもしれません。

フランスで子育てをすることに不安がある方へ
ここまで、私自身の育児を通して感じてきたことを書いてきました。
ただ、この記事ですべての疑問に答えられるわけではありません。
保育園の申し込み。
学校選び。
先生との関係。
水曜日の過ごし方。
長いバカンス。
仕事との両立。
子どもの医療。
行政手続き。
家族でフランスに移住する場合には、住居や生活の立ち上げもあります。
家庭によって必要なことは全く違います。
そして、フランスに来たばかりの方にとっては、「そもそも何を誰に聞けばいいのか分からない」ということもあると思います。
そんなときは、まず身近に相談できる人がいれば、家族や友人、フランスで生活している知人などに相談してみてください。それでも相談できる人がいない場合や、「こんなことを聞いてもいいのかな?」というような場合は、AllofranceJPにもご相談いただけます。
私は医師や弁護士の様に、専門的な判断や診断をすることはできません。ただし、フランスで子どもを育てながら生活してきた日本人として、実際の生活者の目線から、一緒に整理することができます。
「何から調べればいいのか分からない」
「フランスで子どもと暮らすことを考えている」
「保育園や学校について知りたい」
「家族でフランスに移住する場合、生活をどう組み立てればいい?」
そんな方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
育児をして気づいたこと
「フランスの子育てはこうです」と言えるほど単純なものでもありません。フランス人家庭にもいろいろな形があり、日本にもいろいろな家庭があります。少しずつ分かってきたのは、親が全部を背負わなくてもいいということでした。
子どもに任せる。
学校に任せる。
周囲に頼る。
必要ならサービスを利用する。
そして、親自身も仕事や自分の時間を大切にする。それでも、もちろん大変な日はあります。予定通りにいかないこともたくさんあります。でも、そんな中でどうやって家族の生活を組み立てていくのか。それこそが、「フランスで子育てする」ということなのかもしれません。
次回は、さらに具体的に、フランスの学校、先生、宿題、親子関係、子どもの自立、そして「日本人の私がフランスの教育に違和感を持った瞬間」などについても、私自身の経験を交えながら書いてみたいと思います。
⭐︎筆者について
Allofrancejp 代表 萩野アリサ
イギリス留学後、就職を機にパリへ移住。現在はパリを拠点に、日本企業のフランス進出サポートや展示会同行、駐在員の住居探し・生活セットアップなど、現地サポートサービスを提供しています。→会社概要は、こちらから。





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