フランスで妊娠・出産するには?4人を出産した日本人が語るリアル(前編)
- 3 日前
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私はパリを拠点に、フランスで暮らす日本人の方の生活サポートや住居探し、移住相談、日本企業のフランス進出に関するサポートなどを行っています。
これまで、フランスで暮らす日本人の方や、私の知り合いの方から、フランスでの生活についてさまざまな相談を受けてきました。
住居や仕事だけではなく、「フランスで子どもを産む場合はどうなるの?」「病院はどう選ぶの?」「フランスで子育てするって実際どんな感じ?」といった、妊娠・出産・子育てに関する相談を受けることもあります。

私自身は、フランスで妊娠、出産を経験しています。そして現在も、4人の子どもをパリで育てています。つまり、フランスでの妊娠・出産・子育ては、私にとって「調べて分かったこと」ではなく、自分自身が何度も経験してきたことです。一方、私は日本で出産や子育てをした経験はありません。ただ、私の姉は日本で4人の子どもを産み、4人を育てています。姉は日本で4人、私はフランスで4人。同じ姉妹で、どちらも4人の子どもを育てているのに、暮らしている国は違います。
そのため、姉から聞く日本での出産・子育ての経験と、フランスで4人を育ててきた私自身の経験を比べることで、「日本とフランスでは、こんなところが違うんだ」と気づくこともあります。
この記事では、フランスについては私自身の4回の妊娠・出産経験を中心に、日本については姉から聞いた経験や日本の公的な情報なども参考にしながら、日仏の違いについてもご紹介します。
今回は、妊娠してから、出産、そして産後しばらくまでのお話です。フランスの妊娠・出産について、制度だけではなく、実際に4回経験してみて感じたこと、「これは助かった」と思ったこと、そして「これは正直、大変だった」と思ったことまで、できるだけリアルにお伝えしたいと思います。後編は、フランスで子どもを育てていく生活そのものについて書いています。
フランスで妊娠したら、まずどうする?
フランスで妊娠が分かったとき、日本人の方が最初に戸惑いやすいのが、「いったい誰に相談すればいいの?」ということではないでしょうか。日本では「妊娠したら産婦人科へ」というイメージがかなりはっきりしています。
フランスでは、médecin généraliste(一般医)、gynécologue(婦人科医)、sage-femme(助産師)などに相談することができます。まず妊娠検査薬などで妊娠が分かったら、医師やsage-femmeのもとで初回の妊婦健診を受けます。血液検査や尿検査などを行い、妊娠の状態や母体の健康状態を確認していきます。その後、出産する病院やmaternité(産科)を決め、必要に応じて登録や予約を進めます。
私自身の経験では、妊娠を確認した血液検査などの結果を持って、出産する病院の予約・登録を進めました。ただし、必要な書類や登録方法は施設によって異なります。また、大きな病院や大学病院の中には、妊娠中の定期健診から出産まで、同じmaternitéでフォローしてもらえる施設もあります。
一方で、妊婦健診は街のgynécologueやsage-femmeに通い、出産のときだけmaternitéへ行くというケースもあります。
そのため、出産する施設を選ぶときには、
妊娠中の定期健診もここで受けられるのか?
出産まで同じ病院でフォローしてもらえるのか?
妊婦健診は外部の医師やsage-femmeに通う必要があるのか?
といったことを確認しておくと安心です。

妊娠中から、もう保育園探しが始まる?
そして、フランスで妊娠した日本人の方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、出産後にcrèche(保育園)を利用したい場合、妊娠中から申し込みを始める必要があるということです。
例えばパリの市立crècheでは、現在、原則として*妊娠6か月目前後から申し込みができます。申し込み後、出産したら出生届などを提出して申請を確認し、その後も定期的に申し込みを更新する必要があります。*区によって細かな手続きや受付時期は異なり。
また、区によっては妊娠証明書(certificat médical de grossesse)に出産予定日を記載したものを提出する必要があります。
つまり、「赤ちゃんが生まれてから保育園を探せばいい」ではありません。「出産後、できれば早めに仕事に復帰したい」、「生後2〜3か月頃からcrècheに預けたい」と考えているのであれば、妊娠中から保育園の申し込みについて調べておく必要があります。
パリ市立crècheの場合、受け入れ対象は現在、生後2か月半から3歳までです。
ただし、申し込んだからといって必ず希望する保育園に入れるわけではありません。
そのため、フランスで出産を予定している方は、病院探しと同時に、産後の保育についても考えておくことをおすすめします。
妊娠中は、検査や健診だけでも結構忙しい
そして、これは制度の説明だけでは分からない、私自身が4回の妊娠で感じたことです。
妊娠すると、思っている以上に病院や検査に行く機会があります。血液検査、尿検査、エコー、定期健診……。
病院や検査施設が一か所にまとまっているとは限らず、予約を取って、そこまで移動して、また別の日に別の検査へ行く。妊娠初期は、まだお腹も大きくなっていないので周囲からは元気そうに見えるかもしれません。でも、実際にはつわりで体調が悪く、そんな状態で何度も検査や健診に行くのは、かなり大変でした。
私の場合、つわりが本当にひどかったので、妊娠したからといって普段通りに仕事を続けることができず、働き方そのものを変えざるを得ない時期もありました。
「妊娠したら、あとは病院に行けばいい」
というほど単純ではありません。
体調が悪い中で、仕事の予定を調整し、病院を予約し、検査を受け、結果を確認して……。
妊娠初期から、生活そのものを少しずつ変えていく必要がありました。4人を出産した今振り返っても、私はこの「妊娠初期の大変さ」は、これからフランスで妊娠する方にぜひ知っておいてほしいと思います。
フランスで妊娠して、私が最初に「日本と違うんだ!」と感じたことの一つが、エコグラフィー(échographie)です。日本では、妊婦健診のたびにエコーをして、そのたびに写真をもらうイメージを持っている方も多いと思います。私も最初はそう思っていました。
ところがフランスでは、エコーを受けても*毎回写真をもらえるとは限りません。私自身、「え、写真もらえないんだ!」と驚いたことを覚えています。フランスでは、エコーは「赤ちゃんの成長を記念写真として残す」というより、基本的には医学的な検査として行われている、という違いを感じました。
日本人にとっては、こうした小さな違いも、実際に妊娠してみると意外と大きなカルチャーショックになります。*各機関、医師によって、多少異なります。

sage-femmeによる出産準備の機会もある
フランスでは、妊娠中にsage-femme(助産師)などによる「préparation à la naissance et à la parentalité(出産・育児準備)」のセッションがあります。現在は7回のセッションがAssurance Maladieの対象となっており、出産の流れや産後の生活、呼吸やリラックス、身体の使い方などについて学ぶ機会があります。
また、妊娠中の早い段階から、sage-femmeや医師と妊娠・出産について話す「entretien prénatal précoce(早期妊婦面談)」もあります。体調が良く、時間に余裕があるのであれば、こうした機会には参加してみるのもいいと思います。
出産について知識を得られるだけでなく、同じように出産を迎える人と話す機会になることもあります。ただ、ここも人によって全く違います。私の場合は、つわりが本当にひどかったので、「出産準備の講座に参加しよう!」という余裕がある状態ではありませんでした。
まずは仕事をどうするか、どうやって日々の生活を回すか、そして検査や健診にどうやって行くか。それだけで精一杯の時期もありました。
だからこそ、フランスで妊娠したら「用意されている制度やプログラムには全部参加しなければ」と考える必要はないと思います。自分の体調や仕事、家庭の状況に合わせて、利用できるものを選んでいけば良いんだと思います。

出産する病院やクリニックはどう選ぶ?
妊娠したら、次に考えるのが「どこで出産するか」です。
フランスには、公立病院、大学病院、私立のクリニックなど、いくつかの選択肢があります。
私自身は、これまでに公立・大学病院だけでなく、私立のクリニックでも出産を経験しました。そのため、実際に複数のタイプの施設を経験して感じるのは、「どこが一番いい」というより、自分が何を重視するかによって選択肢が変わるということです。
費用を重視するのか。
自宅からの距離を重視するのか。
無痛分娩など出産方法を重視するのか。
産後の個室やサービスを重視するのか。
そして、自分が安心して出産できると感じるか。
妊娠・出産は一人ひとり状況が違うので、施設選びも「人気だから」というだけではなく、自分の希望と照らし合わせて考えることが大切だと思います。

フランスの出産費用は?公立病院・大学病院ではどうなる?
フランスで出産する場合、多くの方が気になるのが医療費です。
フランスには公的医療保険制度があり、妊娠・出産に関わる一定の医療費について、公的な医療保険によるカバーがあります。
特に公立病院や大学病院などでは、必要な医療を受けるための仕組みが整えられています。
日本から来た方にとって驚きやすいのは、出産に必要となる検査や医療行為だけでなく、必要な医療機器なども公的医療保険の仕組みの中でカバーされるという点です。
もちろん、「フランスの出産は全部無料」という意味ではありません。
自己負担の有無や金額は、医療機関、受けるサービス、mutuelle(補完医療保険)の加入状況などによって変わります。
特に個室など、医療そのものとは別の快適性に関わる部分は、追加費用が発生する場合があります。
そのため、「フランスは出産費用が無料」と単純に考えるのではなく、どの医療が公的保険でカバーされ、どこからが自己負担になるのかを確認することが大切です。

私立クリニックは高い。でも、産後に助かったことも
私は私立のクリニックでも出産した経験があります。
私立は公立の病院などに比べると費用が高くなることがあります。
でも、実際に経験してみると、「高いけれど、これは助かった」と思ったこともありました。その一つが、産後に赤ちゃんを預かってもらえることです。
出産直後のお母さんは、本当に疲れています。身体はもちろんですが、睡眠不足にもなります。そんなとき、夜間に赤ちゃんを預かってもらい、自分が少し眠ることができる。これは、私にとってかなりありがたいサポートでした。「赤ちゃんが生まれたのだから、ずっと赤ちゃんのお世話をしなければならない」ではなく、「お母さんも出産したばかりなのだから、休んでいい」という考え方を感じることができました。
ただし、私立だからすべてが完璧というわけでもありません。私の経験では、公立・大学病院でも私立でも、スタッフが忙しく、「人手が足りないのでは?」と感じることがありました。制度が整っていることと、現場が余裕を持って回っていることは、別の話なのだと思います。

フランスの入院生活は3〜5日。意外と「孤独」だった
フランスでの出産後の入院期間は、出産方法や母子の状態、施設によって異なりますが、一般的には数日程度です。私自身も何度か入院を経験しましたが、フランスの出産で意外だったのが、「思っていたより孤独だな」ということでした。
もちろん医療的なケアは受けます。でも、スタッフがずっとそばにいてくれるわけではありません。そしてスタッフも忙しい。出産したばかりで身体が疲れている中、赤ちゃんのお世話をしながら、自分自身の身体も回復させていかなければなりません。
日本から来た方の場合、「入院中はもっと誰かが手厚く面倒を見てくれるのでは?」と想像していると、少しギャップを感じるかもしれません。
私自身、何度出産しても、産後の入院期間は「楽しい」というより、身体を休ませながら、赤ちゃんとの生活を自分で少しずつ作っていく時間という感覚でした。そして、ここでもスタッフ不足を感じることがありました。フランスの医療制度には助けられる部分がたくさんあります。でも、「制度が整っている=出産後が至れり尽くせり」ではない。
これは、実際に経験したからこそ伝えたいことです。

フランスでは母乳にこだわらない?ミルクを積極的に使う
フランスで出産・子育てをしていて、日本との違いとして印象に残ったことの一つが、母乳に対する考え方です。もちろん、フランスにも母乳育児を選ぶ人はいます。でも、ミルクを使うことも珍しくありません。「母乳で育てなければ」というプレッシャーが、日本と比べると少ないように感じます。ミルクに頼ることに対しても、比較的おおらかです。私が感じたのは、「赤ちゃんのためなら、お母さんは多少無理をしてでも頑張る」という考え方だけではないということ。赤ちゃんはもちろん大切。でも、お母さん自身の身体や睡眠、生活も大切。という考え方があります。母親が元気でいられることも、家族にとって大切なことだからです。これは4人を育ててきた私自身にとっても、助けられた考え方でした。

出産後は「赤ちゃん」だけではなく「お母さんの身体」もケアする
フランスで産後を過ごしていて、もう一つ特徴的だと感じたのが、お母さん自身の身体のケアです。出産したら、赤ちゃんのお世話だけをするのではありません。お母さんも、自分の身体を回復させていきます。例えば、骨盤底筋などのリハビリや、腹筋・体幹など、妊娠・出産によって変化した身体をケアするためのリハビリがあります。つまり、「赤ちゃんが元気なら、それで終わり」ではありません。お母さんも出産という大仕事をしたのだから、身体をきちんと回復させるという考え方です。私自身、4人を出産してみて、これはとても大切なことだと感じています。出産後は赤ちゃんのお世話に追われます。でも、そこで自分の身体を後回しにしてしまうと、後になって負担が出てくることもあります。
フランスでは、「お母さん自身の身体も大切にしてください」というメッセージを比較的はっきり受け取ることができます。

フランスでは、お母さんも自分の時間を大切にする
こうした産後の身体のケアにもつながりますが、フランスで子育てをしていて感じるのが、
「母親だから全部を我慢する必要はない」
という考え方です。
赤ちゃんを誰かに預ける。
ミルクを使う。
身体のケアをする。
周囲に協力してもらう。
自分の時間を持つ。
こうしたことに対して、比較的罪悪感を持たない文化があります。もちろん、すべてのフランス人家庭がそうというわけではありません。家庭によって考え方は違います。ただ、少なくとも私がフランスで4人を育ててきた中では、「良い母親=自分を犠牲にする母親」ではないという感覚を持つようになりました。

フランスでは計画分娩という選択肢もある
フランスでの出産について、もう一つ私自身が経験したのが「計画分娩」です。
私は4人目を計画分娩で出産しました。もちろん、誰でも好きな日に自由に出産できるという意味ではありません。母子の状態や妊娠経過、医師の判断、施設の方針などによって、計画的に出産するケースがあります。
私の場合、4人目だったこともあり、上の子どもたちの生活も考えなければなりませんでした。出産する本人だけではなく、
「その日に子どもたちをどうする?」
「誰がどこにいる?」
「家族の予定をどう調整する?」
など、家族全体の生活を考える必要があります。
4人目ともなると、出産は「自分一人のイベント」ではありません。家族全体の生活の中に出産があります。その意味でも、計画分娩を経験したことは、4人の子どもを育てている私にとって印象的な経験でした。
フランスで妊娠・出産することに不安がある方へ
ここまで、私自身の4回の妊娠・出産経験をもとに、フランスで妊娠してから出産するまでの流れや、日本との違いについてご紹介しました。ただ、この記事ですべてのケースをカバーできるわけではありません。妊娠の経過も、家庭の状況も、フランスでの滞在資格や社会保障への加入状況も、一人ひとり違います。
特に、
「フランスで思いがけず妊娠した」
「予定していなかった妊娠で、何から始めればいいのか分からない」
「フランスで出産することになったけれど、病院の探し方が分からない」
「妊娠中の検査や手続きについて誰に聞けばいいの?」
「出産後、保育園にはどうやって申し込むの?」
など、実際に妊娠してみると、次から次へと疑問が出てくるものです。
私自身も、1人目のときは分からないことばかりでした。そして、つわりがひどかったときには、検査や健診のためにあちこち移動することさえ大変で、仕事の仕方を変えざるを得ないこともありました。だからこそ、フランスで妊娠・出産をする方には、分からないことや不安なことを、一人で抱え込まないでほしいと思っています。
まずは、身近に相談できる人がいるなら、家族や友人、フランスで生活している知人などに相談してみてください。それでも、
「誰に聞けばいいのか分からない」
「身近に相談できる人がいない」
という場合もあると思います。
そんな方のために、Allo France JPでは、フランスでの妊娠・出産についての相談窓口を設けています。私は医師や助産師ではありませんので、医学的な判断や診断を行うことはできませが、フランスで4人の子どもを妊娠・出産し、現在も4人を育てている日本人として、
「まず何を確認すればいいのか」
「どこに相談すればいいのか」
「どんな準備が必要なのか」
といった、フランスで生活するための実際的な部分を一緒に整理することはできます。
フランスでの妊娠・出産が初めての方も、思いがけない妊娠で戸惑っている方も、「こんなことを相談していいのかな」と思わずに、まずはご相談ください。また、妊娠・出産に限らず、フランスへの移住、住居探し、家族でのフランス生活などについてもサポートしています。
フランスでの新しい生活を、何から始めればいいのか分からない。
そんなときに、一人で全部調べて抱え込むのではなく、一緒に整理する人がいるだけでも、少し気持ちが楽になることがあります。ご相談は、弊社の「お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。↓
次回は「フランスで子育て編」
妊娠・出産が終わったら、そこからが本当の意味での「フランスで子育て」のスタートです。そして、子どもが成長していくと、また違った「日本との違い」が見えてきます。保育園や学校。先生たちの考え方や、子どもへの接し方。水曜日や長いバカンス。習い事。子どもの自立。親の働き方。
そして、子どもを育てながら、親自身の仕事や時間をどう組み立てていくのか。4人の子どもを育てている私は、私なりの方法で毎日の生活を回しています。でも、私の周りのフランス人家庭や日本人家庭を見ていると、みんなが同じやり方をしているわけではありません。
「私はこうしているけれど、あの家庭はこうしている」そんな違いも含めて、次回は制度の説明だけではなく、実際にフランスで子どもを育てている親たちの「生活のリアル」を書いてみたいと思います。
後編では、フランスの子育ては、本当に日本より楽なのか?フランス人の親は、どのように仕事と子育てを両立しているのか?そして、実際にフランスで子どもを育てながら仕事をしている私は、毎日どうやって時間を組み立てているのか。「フランスで子育てする」ということを、親目線から掘り下げていきます。
⭐︎筆者について
Allofrancejp 代表 萩野アリサ
イギリス留学後、就職を機にパリへ移住。現在はパリを拠点に、日本企業のフランス進出サポートや展示会同行、駐在員の住居探し・生活セットアップなど、現地サポートサービスを提供しています。→会社概要は、こちらから。





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