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フランスの教育と「社会運動」を見て考えたこと|子どもを育てる日本人母親のリアル

13 時間前
読了時間: 16分

私はパリを拠点に、日本企業のフランス進出やフランス市場でのビジネス展開をサポートするビジネスコンサルタントとして活動しています。仕事では日本企業のフランス進出をお手伝いし、プライベートでは、フランスで4人の子どもを育てています。そのため、フランスの学校や教育についても、外から情報を集めているだけではなく、実際に子どもたちを学校に通わせながら、日々その仕組みを経験してきました。


私はこれまで、日本の保育園、フランスの学校、そして海外の保育・教育現場を見る機会もありました。日本の保育園と海外の保育園の交流に関わったこともあります。

そうした経験から感じるのは、国が違えば、「子どもをどう育てるのか」、「学校や保育園はどこまで担うのか」、「親はどこまで関わるのか」

という考え方そのものが、かなり違うということです。


だから、日本からフランスの教育についてのニュースを見ると、「そんなことがあるの?」

と驚く人がいる一方で、私自身は、「フランスで子育てしていると、そういうこともありますよね」と感じることもあります。


今回、日本でも話題になっているフランスの教育をめぐる「社会運動」をきっかけに、4人の子どもを育ててきた母親として、私が実際に感じていることを書いてみたいと思います。


フランスの教育をめぐる「社会運動」を見て、最初に感じたこと


最近、フランスの高校や教育現場について取り上げたYouTube動画を見ました。例えば、学校関係のスタッフについても、働いたにもかかわらず給与が適切なタイミングで支払われなかったという話があったと聞きました。


もしそうした状況が実際にあったのであれば、「それはきちんと改善してほしい」と思います。


働いた人が、決められた給与をきちんと受け取る。これは教育問題以前に、働く人の基本的な権利に関わることだからです。だからこそ、「社会運動が起きている」という一つのニュースだけを見て、すべてを一括りにしないこと。これは大切だと思います。本当に困っていて、自分たちの権利を守ってほしいと声を上げている人もいる。


一方で、そこに別の目的で便乗する人もいる。

この二つは、分けて考える必要があります。


パリ郊外の新築アパートの様子
10月6日の社会運動の様子 パリ市内

「先生がいない」=先生不足は、フランスでは今に始まったことではない


では、実際にフランスで子どもを育てている私が、この教育問題をどう感じたか。最初に思ったのは、「でも、これってフランスで子育てしていたら、今に始まった話ではないのでは?」ということでした。


私自身、これまで子どもたちをフランスの公立学校にも通わせてきました。

そして実際に、

  • 音楽の先生がいない

  • 先生が休んでも代替の先生が来ない

  • 授業が何日もなくなる

  • 先生が1週間ほど不在でも、代わりの先生がいない

  • 事前に保護者へ十分な説明がない

といった経験をしています。


私自身、学校に相談したこともあります。

「先生がお休みになるなら、せめて事前に教えてほしい」

「子どもたちがどういう状況なのか、もう少し説明してほしい」

といったお願いをしたこともあります。


でも、必ずしもこちらの希望通りにはなりません。

保護者が真剣に相談しても、

「仕方がない」

「どうしようもない」

というような空気を感じることもありました。


だから、

「フランスの公立学校では、こういうこともある」

という感覚が、いつの間にか自分の中にもできてしまいました。


でも、忘れてはいけないのは「影響を受けるのは子ども」ということ


ただ、ここで私がいつも思うことがあります。

どんな事情があったとしても、その影響を受けるのは、結局子どもです。


先生がいない。

授業がなくなる。

学校から十分な説明がない。

先生によって教育内容が違う。

そのすべてを決めているのは子どもではありません。


だからこそ、親としては、「フランスだから仕方ない」だけで終わらせることもできないと思っています。


フランスの教育は「どの先生に当たるか」で1年が変わる


私が実際に子どもたちを通わせてきて、かなり強く感じるのが、同じ学校でも、担任の先生によって子どもの1年間が全く違うということです。


例えば、現在CM1(小学校4年目)の娘の学年には2つのクラスがあります。娘のクラスの先生は、とても積極的に子どもたちを外へ連れ出してくれます。週に1回程度は課外活動があり、お弁当を持って出かけることもあります。社会見学のような経験をしたり、そこで見たことを学校に戻ってから授業で振り返ったり。

さらに、経験したことについて報告書を書かせたりもします。


ただ「遊びに行く」のではなく、体験する → 考える → 情報を整理する → 言葉にする → 書くというところまでつなげている。


私は、こういう教育をとてもありがたいと思っています。

子ども自身も、「楽しい!」と言っています。そして今度は、なんと10日間の修学旅行も予定されています。9歳の子どもにとって10日間というのは長いですし、移動もかなりの距離になるようなので、「そこまで長距離で行く必要があるのかな」と思う部分も正直あります。


でも、もう一つのクラスと比べると、その差はかなり大きい。

もう一つのクラスでは、あまり課外活動がなく、タブレットを渡されて、それぞれがアプリを使って進める時間が多いと聞いています。つまり、同じ公立小学校、同じ学年なのに、先生によって子どもが経験できることが全然違う。これは、かなり大きな差だと思います。


フランスの不動産エージェントたち
フランスの小学校の例

「公立だから悪い」わけではない


ここで大事なのは、だからといって、「公立学校はダメ」という話ではないことです。

むしろ娘の学校を見ていると、公立だからこそできていることもあります。


例えば修学旅行。公立小学校なので、家庭に大きな宿泊費が請求されるわけではありません。一方で、私立学校では、修学旅行などの宿泊行事に1泊あたり100ユーロ前後、あるいはそれ以上かかるケースもあります。


つまり、公立には、家庭の経済的負担を抑えながら、子どもにさまざまな経験をさせられる

という大きなメリットもあります。だから、公立と私立を単純に比較して、「お金を払えば良い教育が受けられる」という話でもないのです。


私立もピンキリ、公立もピンキリ


これは私が実際に子育てをしてきて、かなり感じていることです。

私立だから良い。

公立だから悪い。

そんな単純な話ではありません。


私立にも学校ごとの違いがあります。

モンテッソーリやバイリンガルなど、明確な教育方針を持った学校には、それぞれの魅力があります。


一方で、学費が高くても、

  • 体育館がない

  • 校庭が小さい

  • 設備が限られている

  • 施設が十分ではない

という学校もあります。


逆に、公立学校の方が、

  • 校庭が広い

  • 体育館がある

  • 大きな施設が使える

  • 経済的負担が軽い

というケースもあります。


だから「学費が高い=良い学校」ではないと思っています。


学校選びで本当に大切なのは「公立か私立か」ではない


以前、私は「フランスの学校選び完全ガイド」という記事を書きました。フランスでは、公立、私立、インターナショナルスクール、モンテッソーリ、日本人学校など、さまざまな選択肢があります。


それぞれにメリットとデメリットがあり、学校だけではなく、学区や住む場所、バカンス、送迎、費用なども含めて考える必要があります。


今回の記事で、そこにもう一つ付け加えたいことがあります。

それは、「先生は毎年同じではない」ということです。


「評判のいい学区」だけを見ても分からないことがある


実は、私自身も子どもの学校を変えた経験があります。次男のときは、学校とのコミュニケーションの中で、「ここでは親の話がきちんと通じない」と感じることがありました。


そこで私は、話を聞いてくれる先生がいる学校、そして保護者ときちんとコミュニケーションを取ってくれる校長先生がいる学校を探して、転校させました。これは、私にとってかなり大きな経験でした。


学校に問題があるからといって、ただ意見を言い続けるだけでは状況が変わらないこともあります。だったら、「この子に合う環境はどこなのか?」を探す。それも親ができることの一つだと思っています。今でもあの時、転向先を探して良かったと思っています。


「学校が足りないなら、家庭で補う」という家庭もある


娘のもう一つのクラスについて、保護者が学校にもっと言わないのかな、と聞いたことがあります。すると、「みんな、家で頑張らせるしかないと思っているみたい」という話を聞きました。これもフランスらしい一面なのかもしれません。


学校にすべてを求めるのではなく、「学校はこういうものだから、足りないところは家庭で補う」と考える。


もちろん、それが良いのか悪いのかは簡単には言えません。ただ、自分の子どもたちについては、もともと「学校に教育のすべてを任せない」という考え方をしている人がフランスに多いのかもしれません。


学校だけでは、日本語も英語も十分には身につかない


これは、海外で子育てをしている日本人家庭にとって、特に重要だと思っています。フランスの一般的な学校に通っているからといって、日本語が身につくわけではありません。英語も、学校に通っているだけでペラペラになるわけではありません。


ましてや、フランス語、日本語、英語の3言語以上を自然に使えるようになるためには、家庭側の努力も必要です。


だから我が家では、「学校で足りないものは家庭で補う」という考え方をしています。


日本語を家庭や外注で教える。

英語の時間を作る。

本を読む。

習い事をする。

バカンス中に普段できない経験をさせる。

旅行に行く。

博物館に行く。

子どもと話す。

学校の勉強だけではなく、学校の外で得られるものも大切にする。


フランスはバカンスが多い。その時間をどう使うかも親次第


私は4人の子どもを育てながら仕事をしてきました。そして、フランスの教育制度の「自由さ」は、働く親にとって必ずしも楽なものではありません。


学校が休みになる。

バカンスが長い。

授業が変更になる。

ストライキがある。

先生が休む。

ある程度の年齢までは送迎が必要になる。


そうすると、親が仕事との調整をしなければなりません。だからフランスでは、ベビーシッターを利用することも比較的普通です。祖父母や親戚に頼る家庭もあります。学童やスタージュを利用する家庭もあります。


学校だけで子育てが完結するわけではありません。

以前の記事でも、バカンスの多さは「時間とお金の設計」が必要だと書きました。これは実際に4人の子どもを育ててきて、本当にそう思います。


「勉強したい子どもに環境がない」という問題について


今回の社会運動について報道される動画の中には、「勉強したい子どもが、十分に勉強できる環境を与えられていない」という趣旨の話もありました。


それについては、私も「それはかわいそうだ」と思います。学校の授業がなくなれば、その影響を受けるのは子どもです。でも、同時に思うことがあります。中学校を卒業した後、どんな進路に進みたいのか。どんな高校を目指したいのか。そのためには何が必要なのか。


そこは、子ども自身も少しずつ考えていかなければなりません。

もちろん学校が正常に機能していることは大前提です。

でも、突然授業がなくなったり、社会情勢によって予定が変わったりすることはあります。


そんなとき、「じゃあ、どうする?」と考える。私は、そこに親の役割もあると思っています。


フランスで子育てするなら「アジャストメント」が必要


学校がうまくいかない。

先生が変わる。

授業がなくなる。

バカンスが長い。

学校行事が変更になる。

そういうときに、

「本来ならこうあるべき」

と言い続けるだけでは、子どもの時間は戻ってきません。


だから、

「今の状況で、どうする?」

と考える。学校で足りないなら家庭で補う。

先生と合わないなら、学校を変えることを検討する。

必要ならベビーシッターを使う。

バカンスを教育の時間として使う。

子どもが希望する進路があるなら、そのために家庭でも準備する。

私はこれを、アジャストメントだと思っています。


冷房がない教室でも、みんな工夫している


フランスの学校では、設備についても、「日本だったら当たり前なのに」と思うことがあります。


例えば、暑い時期でも教室に冷房がないことは珍しくありません。だから、子どもに冷たい水を持たせる。

水分をしっかり取る。

服装を調整する。

家庭でもできることを考える。


そうやって、みんな工夫しています。もちろん、子どもが安全に学べないほどの暑さなどについては、別の問題として考える必要があります。


ただ、フランスで生活していると、「設備が完璧に整っていないから何もできない」ではなく、「では、どうする?」と考える場面が本当に多い。これは学校に限った話ではありません。「それがフランスなんだから」と思うこともあります。

実はこの記事を書いている今日も、そんなことを感じました。

10月初旬なのに外は22℃。

天気もとても良い。

そして私はメトロに乗りました。


ところが、車内はまるでサウナ。

「学校の教育環境が……」と言っている私たち大人も、毎日お金を払って公共交通機関を利用しているのに、「全然快適じゃないじゃん!」ということが普通にあります(笑)。


もちろん、

「だから学校の問題も我慢しましょう」

という話ではありません。


そうではなく、フランスという社会自体が、すべてが完璧に整備された社会ではない。だからこそ、人々はその中で工夫しながら暮らしている。私は、フランスで子どもを育てることも、ある意味ではこの「アジャストメント」の連続なのだと思っています。


フランスの教育に「正解」はない


ここまで書いてきて、私はやっぱり、「フランスの教育は良い」

とも、「フランスの教育は悪い」とも言えないと思っています。


公立にも良いところがあります。

私立にも良いところがあります。

でも、公立も私立もピンキリ。


そして、学校が同じでも先生によって違う。

良い先生がいても、異動するかもしれない。

病気になるかもしれない。

代わりの先生が来るかもしれない。


教育方針が素晴らしい私立でも、設備が十分とは限らない。

だからこそ、「公立か私立か」だけで学校を選ばないこと。

これが大切なのだと思います。


学校選びは「自分たちの人生を選ぶこと」


最近は、日本人のご家庭でも、以前よりフランスの公立学校を選択するケースが増えているように感じます。以前は日本人学校やインターナショナルスクールを選ぶご家庭が多かったとしても、今は現地の公立・私立を選択肢に入れるご家庭もあります。


だからこそ、学校選びがますます重要になると思っています。

「この学区が良いらしい」

「この学校は評判が良いらしい」

という情報はもちろん参考になります。

でも、それだけでは足りません。

その学校の教育方針は?

先生との距離感は?

設備は?

子どもの性格に合っている?

家庭の生活スタイルに合っている?

バカンス中はどうする?

日本語はどう維持する?

英語はどう伸ばす?

学力面ではどうする?

そして、困ったときに、

話を聞いてくれる先生や校長先生がいるのか。

これもかなり大切なポイントではないでしょうか。


学校にすべてを任せない。それも一つの選択肢


私自身、子どもたちを育てる中で、「学校に教育のすべてを任せない」という考え方になりました。


学校には学校の役割があります。

先生には先生の役割があります。

でも、子どもの教育は学校だけで完成するものではないと思っています。

日本語も。

英語も。

学力も。

社会経験も。

好奇心も。


学校以外の場所で補えるものはたくさんあります。

そして、フランスにはバカンスがあります。

この時間をどう使うかも、家庭の自由です。


だから我が家は、学校に「すべてやってもらう」ことを期待するより、学校で得られるものを受け取りながら、家庭でも子どもの可能性を広げていく。その方が、フランスの教育環境には合っているのかもしれないと思っています。


フランスで学校を選ぶとき、情報だけでは分からないことがあります


私はパリでビジネスコンサルタントとして、日本企業のフランス進出をお手伝いする一方、個人のお客様には、フランスでの生活や住居、学校選びなどについてもご相談をいただいています。


実際に4人の子どもをフランスで育ててきたからこそ、

「制度上はこうなっています」という情報だけでは分からない、

「実際に生活するとどうなるのか」

という部分もお話しできます。


例えば、

  • フランスの公立・私立、どちらが家庭に合うのか

  • 学校選びで何を確認したらいいのか

  • 学区と住む場所をどう考えるか

  • 日本人学校・現地校・インターナショナルスクールの違い

  • バカンスを含めた子育てと仕事の両立

  • 日本語・フランス語・英語をどう考えるか

  • フランスでの生活をどう組み立てるか

などです。


以前書いた「フランスの学校選び完全ガイド」では、学校の種類や学区、バカンス、費用などを整理しています。


ただ、実際の学校選びでは、家庭によって答えが変わります。

「どの学校が一番良いですか?」

ではなく、

「うちの家族には、どの選択が合っていますか?」

というところから考えることが大切です。


最後に|フランスで子どもを育てるということ


今回の社会運動をきっかけに、私は改めて「フランスで子どもを育てる」ということについて考えました。


フランスには、子どもに自由を与える教育の良さがあります。

権利を主張する文化もあります。

働く人が声を上げることもあります。

一方で、学校の先生が足りないこともある。

授業がなくなることもある。

設備が十分ではないこともある。

バカンスは長い。

働く親には大変なこともある。

そして、同じ公立学校でも、先生によって子どもの1年間が大きく変わることもあります。


だから

「フランスの教育はこうあるべき」

という答えを出したいわけではありません。


むしろ、

「この環境の中で、どうする?」

と考えることが大切なのだと思っています。


学校を選ぶ。

必要なら転校する。

家庭で補う。

バカンスを活用する。

ベビーシッターを使う。

子どもが希望する進路のために一緒に準備する。

そして、制度に問題があれば声を上げる。

でも、社会運動の中にあるさまざまな立場や問題を、一つにまとめてしまわない。


おかしいものはおかしいと言いながら、同時に「今、自分たちにできることは何か」を考える。私は、フランスで4人の子どもを育てる中で、そんな「アジャストメント」を覚えてきたような気がします。そして、それは子どもの学校選びだけではなく、フランスで暮らすことそのものにも言えるのかもしれません。


完璧な環境を探すのではなく、自分と家族に合う環境を選び、その中でどう生きるかを考える。学校選びも、結局は人生の選択の一つ。子どもが何歳になっても、親になっても、海外で暮らしていても、「自分たちに合う場所を、自分たちで選ぶ」

ということは、いつの時代も大切なのだと思います。


フランスでの学校選びや暮らしについて、ご相談ください


AllofranceJPでは、フランスへの移住・滞在を考えているご家族や、すでにフランスで生活されている日本人ご家族を対象に、フランスの学校選びやフランスでの生活についてのご相談を承っています。


「どんな学校を選べばいいのかわからない」

「公立と私立、どちらが我が家に合っている?」

「今の学校が子どもに合っているのか迷っている」

「フランスの学校制度がよくわからない」


そんなときに、フランスでの子育て経験と、パリでの生活・ビジネスの経験をもとに、一緒に選択肢を整理していきます。

学校選びも、フランスでの暮らし方も、正解は一つではありません。ご家庭にとって無理なく、納得できる選択肢を一緒に考えてみませんか?



⭐︎筆者について


Allofrancejp 代表 萩野アリサ

イギリス留学後、就職を機にパリへ移住。現在はパリを拠点に、日本企業のフランス進出サポートや展示会、視察同行、駐在員の住居探しサポート・生活セットアップなど、現地サポートサービスを提供しています。→会社概要は、こちらから。


フランスビジネスコンサルティング会社Allo France Jp 代表


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