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フランス進出戦略|フランス デモ・暴動や社会情勢の変化に対応する日本企業が今考えるべきこと

6 時間前
読了時間: 15分

こんにちは。パリを拠点に、日本企業のフランス進出支援やビジネスコンサルティングを行っているAllofranceJPです。これまで、フランス市場への参入を検討する企業に向けた市場調査、現地企業への営業支援、展示会での商談サポートなど、日本とフランスをつなぐビジネス支援に携わってきました。


今回は、現在のフランスを取り巻く社会情勢と、そこから見えてくる日本企業の新しいビジネス戦略についてお話ししたいと思います。円安や物価高騰に加え、デモや社会的な混乱が続くフランス。さらに、ヨーロッパ各地でも生活費の上昇や住宅問題、公共サービスへの不満などを背景に、抗議活動が広がっています。


フランスへの進出を検討している企業にとって、今は決して簡単な環境ではありません。

「今、フランスに進出するのはリスクが高いのではないか」「店舗や事務所を構えても、安定して事業を続けられるのだろうか」「この先、社会情勢はどう変化していくのだろうか」

このような不安を感じる方もいらっしゃると思います。実際、現在の状況を楽観視することはできません。しかし、私は、フランス市場への進出を諦めるべきだとも考えていません。


今、企業に求められているのは、進出するか、しないかという二択ではなく、変化する環境に合わせて、どのようにビジネスを展開していくかを考えることです。


パリで生活し、現地のビジネスに携わっているからこそ見えてくることがあります。今回は、現地の実情を踏まえながら、これからのフランス進出で考えたい戦略を整理していきます。

終わりが見えない社会運動 デモ
終わりが見えない社会運動 デモ

1. フランスで何が起きているのか? ヨーロッパ全体に広がる社会不安


現在、フランスでは生活費の上昇、賃金や教育、公共サービスなどへの不満を背景に、大規模な抗議活動が続いています。当初は学生による学校環境などへの抗議が目立っていましたが、次第に生活費や賃金、社会保障など、より広い問題へと議論が広がっています。2026年10月には、全国規模のデモが複数回行われ、一部の都市では店舗への略奪や破壊行為、警察との衝突も発生しました。一方で、多くの参加者は平和的に抗議活動を行っています。また、フランスだけでなく、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベルギーなど、ヨーロッパ各地でも生活費や住宅費、公共サービスなどをめぐる不満が表面化しています。もちろん、それぞれの国では政治的・経済的な背景が異なります。すべてが同じ運動によって引き起こされているわけではありません。しかし、生活費の負担が増える一方で、賃金や生活水準が十分に追いつかないという問題は、国境を越えて多くの人々に共通する課題となっています。


フランスのデモや暴動は物価高騰への不満だけではない、政治への不信感


こうした状況の背景には、日々の生活にかかる費用だけでなく、政治や行政に対する不満もあります。


フランスでは、政府の政策や社会保障、教育、公共サービスなどをめぐり、さまざまな立場の人々が意見を表明しています。一部では、現在の政治体制やマクロン大統領の統治姿勢を強く批判する声もあり、SNSなどではフランス革命を引き合いに出す意見や、政治体制そのものの変革を求める主張も見られます。


フランスは、歴史的にも社会のあり方や政治体制をめぐる議論が活発な国です。だからこそ、現在の状況を単なる物価高騰への不満だけで理解することはできません。ただし、こうした強い主張がフランス国民全体の意見を代表しているわけではありません。社会の中にはさまざまな考え方があり、抗議活動に参加する理由も一様ではありません。


いつ落ち着くのか、見通しにくい状況


現在、フランスでは今後もデモや暴動、抗議活動が続く可能性があり、少なくとも短期間で完全に落ち着くと断言できる状況ではありません。


2027年4月18日には大統領選挙の第1回投票、5月2日には決選投票が予定されています。

選挙まで約半年となった今、政治的な議論や社会への不満が、今後の選挙戦にも影響する可能性があります。ただし、大統領選挙が近いからといって、抗議活動や混乱が数か月間続くと決まっているわけではありません。今後の展開は、政府の対応や社会情勢によって変わります。


企業にとって重要なのは、事態がいつ終わるのかを予測することだけではなく、不確実な状況が続いた場合にも事業を継続できるよう、あらかじめ複数の選択肢を用意しておくことではないでしょうか。


2. パリで暮らしているからこそ感じる、現地のリアル


私はパリで生活しながら、現地でのビジネス支援を行っています。最近、特に感じるのは、同じパリの中でも、地域によって状況が大きく異なるということです。


私が暮らしているのは、観光客が集まる中心部ではなく、住宅街に近いエリアです。そのため、日常生活は比較的いつもどおりに続いています。一方、デモなどが行われる広場や大通り、市内中心部では、普段とは異なる光景が見られることがあります。


最近は、特に用事がなければ、中心部へ買い物に出かけたり、レストランで食事をしたりする気持ちになれないこともあります。仕事などで中心部へ出かけると、いつものパリとは違う雰囲気を感じることがあります。そして、残念に思うのが、パリの魅力である芸術や文化に触れる機会まで、社会情勢の影響を受けてしまうことです。


パリには、美術館やギャラリー、歴史的な建築物、ファッション関連の施設など、日常の中でさまざまな刺激を受けられる場所があります。しかし、施設が休館したり、予定されていたイベントが中止になったりすると、普段なら当たり前に楽しめるものが制限されてしまいます。また、子どもたちは地下鉄を利用して学校に通っています。交通機関の混乱や街の状況について、親として心配になることもあります。


こうした日常の変化を経験すると、社会情勢はニュースの中だけの出来事ではなく、生活や仕事に直接関わるものなのだと改めて感じます。


パリ全体が危険なわけではない


ここで強調しておきたいのは、パリ全体が一様に危険な状態にあるわけではないということです。住宅街では普段どおりの生活が続いている場所もあります。一方で、デモのルートや人が集まる場所、その周辺では、交通規制や店舗の営業への影響が生じることがあります。

つまり、同じパリでも、場所や時間帯によって状況が異なるのです。この違いは、フランスへの進出を考える企業にとっても重要な視点です。


例えば、観光客を主要な顧客とする店舗と、地域住民を対象とする店舗では、社会情勢の変化による影響が異なる可能性があります。また、同じ業種であっても、立地や販売方法によってリスクは変わります。現地の情報を一括りにして判断するのではなく、実際にどの地域で、どのような顧客を対象に事業を行うのか。その視点から状況を把握することが大切です。


現地の状況を正確に知ることは、必要以上に不安を感じないためにも、反対にリスクを過小評価しないためにも重要なのです。


3. 社会が不安定でも、ビジネスの可能性がなくなるわけではない


社会情勢が不安定になると、どうしてもネガティブな情報に目が向きがちです。生活費の上昇に苦しむ人々がいることも、消費を控えざるを得ない家庭があることも、現実です。一方で、フランスの消費者が全員、同じように経済的な困難を抱えているわけではありません。

生活に余裕があり、これまでどおり外食や買い物、旅行、文化的な活動を楽しんでいる人々もいます。もちろん、購買力や消費行動は、所得、年齢、居住地域、ライフスタイルなどによって異なります。


だからこそ、フランス市場全体を「景気が悪いから売れない」「社会が不安定だから進出できない」と、一括りにして判断することは適切ではありません。


重要なのは、誰に、何を、どのように売るのか

例えば、物価高騰によって生活必需品への支出が増えれば、消費者はそれ以外の支出を見直すかもしれません。一方で、品質やデザイン、ブランドの世界観に価値を感じ、特定の商品やサービスにお金を使い続ける顧客層も存在します。


こうした違いを理解するためには、単に市場全体の景気を見るだけでなく、自社の商品やサービスのターゲットとなる顧客を具体的に分析する必要があります。

  • どのような顧客層に購買力があるのか。

  • その顧客は、何に価値を感じているのか。

  • 価格に対して、どの程度の品質やサービスを求めているのか。

  • 社会情勢が変化したとき、購買行動はどう変わるのか。

  • どの販売チャネルなら、継続的に顧客と接点を持てるのか。

こうした問いを一つずつ検証していくことが重要です。


フランス市場への進出を考える際、社会情勢を理解することは必要です。しかし、それだけでは十分ではありません。社会全体の状況と、自社がターゲットとする顧客の状況を分けて考えること。これが、現実的なビジネス戦略をつくる第一歩です。


4. 今、日本企業が考えるべき5つのビジネス戦略


では、こうした環境の中で、日本企業はどのような戦略を取るべきなのでしょうか。

私が重要だと考えるのは、次の5つです。


① 最初から大きな投資をせず、市場の反応を確かめる

フランス進出を検討するとき、最初から店舗や事務所を構えることだけが正解ではありません。まずは、自社の商品やサービスがフランス市場で受け入れられるのかを確かめることが重要です。


例えば、食品メーカーであれば、現地の輸入業者や販売代理店への提案、飲食店への営業、展示会への出展などを通じて、市場の反応を確認できます。


ファッションや生活雑貨であれば、現地の小売店への商品提案、期間限定の販売、オンラインでのテスト販売なども考えられます。


こうした取り組みを通じて、価格設定、競合商品、販売先の反応、取引条件などを把握できます。その結果を踏まえ、店舗を持つべきか、現地法人を設立するべきか、あるいは輸出や代理店を通じた販売を継続するべきかを判断するのです。


最初から大きな投資をするのではなく、段階的に市場を開拓する。

これは、経済環境が不安定な時期だからこそ、検討したい方法です。


② ECと実店舗を組み合わせ、販売経路を分散させる

実店舗を持つことには、商品を実際に手に取ってもらえる、ブランドの世界観を伝えられる、顧客と直接コミュニケーションを取れるといったメリットがあります。一方、店舗への来店だけに売上を依存すると、交通機関の混乱や地域への人出の減少などが起きた際に、影響を受けやすくなります。


そこで検討したいのが、ECサイトやオンライン販売の強化です。例えば、実店舗でブランドを知ってもらい、ECサイトで継続的に購入してもらう仕組みをつくることができます。

また、フランス国内だけでなく、ほかの欧州市場へのオンライン販売を検討することも可能です。ただし、配送、関税、税務、各国の規制などは事前に確認する必要があります。

すべての業種でECが適しているわけではありませんが、実店舗以外の販売経路を持つことは、事業の柔軟性を高める方法の一つです。


③ 出店場所は、知名度や人通りだけで決めない

パリへの出店を考える場合、観光名所周辺や有名なショッピングエリアなどを候補にする企業も多いと思います。確かに、知名度が高く、人通りの多い場所には大きな魅力があります。しかし、その分、賃料が高くなる傾向があり、立地によっては観光客や特定のイベントへの依存度も高くなります。


そこで検討したいのが、メインストリートから一本入った通りや、住宅街に近いエリアなど、異なる立地の可能性です。例えば、地域住民を主要な顧客とする店舗であれば、観光客が集まる中心部よりも、生活圏に近い場所のほうが適している場合があります。


一方、高級ブランドや観光客向けの商品であれば、中心部に出店することが合理的な場合もあります。重要なのは、単純に中心部を避けることではありません。

自社の商品やサービスのターゲットは誰なのか。その顧客はどこにいるのか。どのような場所なら継続的に集客できるのか。


こうした視点から、立地を判断することが必要です。また、デモなどの社会情勢だけでなく、通常時の人通り、周辺店舗、交通アクセス、賃料、営業時間帯ごとの環境なども調査する必要があります。出店場所の選定は、ブランドイメージだけでなく、収益性とリスクの両面から考えることが大切です。


④ 現地パートナーと協業し、固定費と投資リスクを見直す

フランス進出を考えていても、現地に店舗や事務所を設けたり、駐在員を派遣したりすることに不安を感じる企業もあるでしょう。そうした企業に検討していただきたいのが、現地パートナーとの協業です。フランスでビジネスを展開するために、必ずしも最初から自社の拠点を持つ必要はありません。


例えば、現地のビジネスパートナーと契約し、市場調査、営業先の開拓、商談支援、展示会での営業活動、現地企業とのコミュニケーションなどを連携して進める方法があります。必要な業務を外部のパートナーと協業することで、現地での採用や拠点運営にかかる負担を抑えながら、市場開拓を進められる可能性があります。

もちろん、外部委託にも費用はかかりますし、すべての企業で必ずコストが下がるわけではありません。


しかし、自社ですべてを抱える場合と比較し、必要な機能に絞って現地のサポートを活用することは、合理的な選択肢になり得ます。まずは現地で販売先を開拓し、商品への反応や取引の可能性を確認する。その後、事業が軌道に乗った段階で、店舗や事務所、現地法人の設立を検討する。このような段階的な進め方も考えられます。


フランスに拠点を持つことと、フランスでビジネスを展開することは、必ずしも同じではありません。自社に必要な機能を見極め、現地のパートナーと協力しながら市場を開拓することも、これからの進出戦略の一つです。


⑤ 観光客に依存しすぎない事業モデルを考える

パリは世界有数の観光都市です。観光客をターゲットとする店舗やサービスにとって、大きな市場であることは間違いありません。しかし、観光客の動向は、国際情勢や交通機関の状況、社会的な混乱などによって変化することがあります。


新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限、テロへの警戒、ストライキ、デモなど、これまでも観光や店舗運営に影響する出来事がありました。こうした経験から考えたいのは、特定の顧客層や立地に依存しすぎない事業モデルです。


例えば、観光客を中心に集客している店舗でも、地域住民や在仏外国人を顧客として取り込める可能性があります。また、特定の国からの旅行者だけでなく、幅広い顧客層を想定した商品構成や販売戦略を検討することもできます。もちろん、ブランドのコンセプトや商品によっては、観光客に特化することが最適な場合もあります。

大切なのは、観光客への依存度を把握し、客層や販売経路を分散させる必要があるのかを判断することです。社会情勢を完全に予測することはできません。しかし、複数のシナリオを想定し、柔軟に対応できる体制を整えることはできます。


5. 今だからこそ、現地の情報をビジネス戦略に生かす


ここまで、これからのフランス進出で考えたい戦略についてお話ししました。市場調査、テスト販売、ECの強化、立地の選定、現地パートナーとの協業。いずれも特別に新しい方法というわけではありません。


しかし、経済環境や社会情勢が変化する中では、こうした基本的な戦略を、より慎重に、具体的に考えることが必要になっています。そして、今のように状況が大きく変化しているときには、過去の情報や一般的な市場データだけでは判断しきれないこともあります。


例えば、以前は人通りが多く、集客に適していた場所でも、現在の状況や顧客の動向によって評価が変わるかもしれません。また、これまで有効だった販売方法が、今後も同じように機能するとは限りません。


だからこそ、現地の状況を継続的に把握し、顧客の動きや市場の変化を見ながら、必要に応じて戦略を見直すことが重要です。私は、パリで生活しながら、実際のビジネス現場で企業の市場開拓を支援しています。現地で起きていることを知るだけでなく、それが企業の事業計画や販売戦略にどのような影響を与えるのかを考える。そして、企業ごとの商品、予算、ターゲット、進出段階に合わせて、何を優先し、どのように動くべきかを検討する。これが、現地でビジネス支援を行うコンサルタントの役割だと考えています。大切なのは、社会情勢が落ち着くのを待つことだけではありません。変化を読み取り、今できることを考え、必要に応じて戦略を修正していくことです。


6. フランス進出を検討している企業の皆様へ


フランス市場には、今も多くの可能性があります。一方で、為替、物価、競争環境、社会情勢など、事業を進めるうえで考慮すべき条件もあります。だからこそ、今の状況に合った進出方法を考えることが重要です。


私はパリを拠点に、日本企業のフランス進出や現地でのビジネス展開を支援しています。

現地での市場調査や営業先の開拓、展示会での営業支援、商談サポート、現地企業との連携など、企業の目的や進出段階に応じたサポートを行っています。


例えば、次のようなご相談に対応しています。

  • フランス市場への進出を検討しているが、何から始めるべきかわからない。

  • 現地に拠点を設ける前に、商品やサービスの可能性を確かめたい。

  • フランスで販売先や取引先を開拓したい。

  • 現地の小売店や飲食店に商品を提案したい。

  • 現地に駐在員を派遣するのではなく、パートナーと協業する方法を検討したい。

  • 社会情勢や市場の変化を踏まえ、自社の進出戦略を見直したい。

このようなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。


フランスでの事業展開に必要なのは、一般的な情報を集めることだけではありません。自社の目的に合わせて現地の状況を理解し、具体的な行動につなげることです。現地の変化を読み解き、リスクを考慮しながら、ビジネスの可能性を探っていく。そのための戦略づくりから現地での実行まで、企業の皆様と一緒に考えていければと思っています。


フランス進出や現地での営業支援についてご検討中の企業様は、お気軽にお問い合わせください。

       

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⭐︎筆者について


Allo France JP 代表 萩野アリサ

イギリス留学後、就職を機にパリへ移住。現在はパリを拠点に、日本企業のフランス進出サポートや展示会同行、駐在員の住居探し・生活セットアップなど、現地サポートサービスを提供しています。→会社概要は、こちらから。



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