フランス賃貸の退去で注意したいこと|デポジット返還と手続き
私はパリを拠点に、日本企業のフランス進出やフランス市場でのビジネス展開をサポートするビジネスコンサルタントとして活動しています。
一方で、パリで暮らす日本人のお客様に向けて、アパート探しや賃貸契約のサポート、入居時・退去時の立ち会い、各種手続きのサポートなど、フランスで生活するうえで必要となる実務的なサポートも行っています。
入居してから退去するまで、フランスならではのルールや手続きがあり、特に最後の退去の段階で「日本と全然違う!」と驚かれる方も少なくありません。
先日も、私がパリ7区のアパートをご紹介したお客様の退去立ち会いに同行しました。今回は、そのときの経験も交えながら、フランス賃貸の退去で日本人が知っておきたいポイントをご紹介します。

フランス賃貸の退去は「鍵を返せば終わり」ではない
日本では、退去日が決まり、部屋を片付けて鍵を返せば、あとは不動産会社との手続きが進んでいく……というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。フランスでは、退去時に確認しなければならないことがいくつもあります。
特に重要なのが、
退去時のétat des lieux(現況確認)
入居時との状態比較
デポジット(保証金)の精算
電気・ガスなどの契約終了
住宅保険の解約
家賃保証サービスなどの終了手続き
オーナーや不動産会社とのやり取り
です。
つまり、フランス賃貸の退去は「引っ越し」だけではなく、いくつもの契約を整理する作業でもあります。

退去時の「état des lieux」はとても重要
フランスの賃貸で特に重要なのが、état des lieux de sortie(退去時の現況確認)です。
入居時にもétat des lieuxを作成しますが、退去時にも改めて部屋の状態を確認します。
そして、基本的には、入居時の状態と退去時の状態を比較することになります。
例えば、
壁や床の傷
家具の状態
ドアや窓
水回り
電化製品
照明
備え付け設備
などが確認対象になります。
ここで大切なのは、「何か傷がある」と指摘されたときに、すぐに「自分の責任だ」と思わないこと。入居した時点ですでに存在していたものなのか、通常の使用による経年劣化なのか、それとも入居後に発生した損傷なのか。入居時のétat des lieuxと照らし合わせて確認することが重要です。
フランス語が分からないと、ここで困ることがあります
退去立ち会いでは、担当者からフランス語で説明を受けます。専門用語が出てくることもありますし、「この部分について修理費用が発生する可能性があります」といった説明をされることもあります。その場で内容を十分に理解できないまま、話が進んでしまうケースもあります。
私が退去立ち会いに同行するときは、単純にフランス語を日本語に訳すだけではありません。お客様が何を指摘されているのかを理解できるように説明し、必要があれば補足しながら、入居時の状態と照らし合わせて確認します。そして、疑問点があれば担当者に確認します。
これは「フランス語の通訳」というよりも、退去手続きを理解して納得したうえで進めるためのサポートだと考えています。

デポジットは、退去後の精算まで確認する
フランスの賃貸では、入居時に**dépôt de garantie(保証金・デポジット)**を支払うことがあります。
退去後には、このデポジットについて精算が行われます。
ここで大切なのは、
「退去立ち会いが終わった=すべて終了」ではない
ということです。
オーナー側では、入居時と退去時のétat des lieuxなどを確認したうえで、必要に応じて精算を行います。
そのため、
「何が理由で差し引かれているのか」
「その金額は何に対するものなのか」
「入居時から存在していたものではないのか」
などを確認することが重要です。
もちろん、実際の精算には契約内容やフランスの法律、物件の状態などが関係するため、ケースごとに確認が必要です。
ただ、少なくとも「フランス語が分からないから、相手が言う通りにするしかない」と考える必要はありません。
自分の契約内容と入居時・退去時の状態を確認すること。
これがとても大切です。
退去時に忘れやすい「契約の解約」
そして、意外と忘れられやすいのが、住居以外の契約です。アパートを退去しても、関連する契約が自動的にすべて終了するとは限りません。
例えば、
① 電気などのエネルギー契約
退去日に合わせて電気会社などへの解約手続きが必要になります。
最後の使用量やメーター情報なども確認しておくと安心です。
② 住宅保険
フランスでは、賃貸住宅に関する住宅保険(assurance habitation)も重要です。
引っ越しをする場合、現在の住居についての契約をどう終了するのか、新居で新しい契約が必要なのかなどを確認します。
③ 家賃保証サービス
保証会社などを利用している場合は、その契約についても退去に合わせて終了手続きが必要になる場合があります。
このように、「アパートを退去する手続き」と「アパートに関連する契約を終了する手続き」は別物と考えておくと分かりやすいでしょう。

日本人が特に注意したいのは「言葉」だけではありません
フランスで生活していると、「フランス語ができれば問題ない」と思ってしまうことがあります。もちろん言葉を理解することは重要です。でも、退去時に本当に必要なのは、単にフランス語を日本語に訳すことだけではありません。
例えば、
「これは入居時からありましたか?」
「この傷は通常使用によるものではありませんか?」
「この費用は何に対するものですか?」
「この書類は何を意味していますか?」
「この契約はいつまでに解約すればいいですか?」
など、確認すべきポイントを知っていることも重要です。
だからこそ、海外での住居手続きでは、「通訳」だけではなく、その国の商習慣や手続きの流れを理解した人に相談できると安心です。
退去前にチェックしておきたいこと
最後に、フランスの賃貸を退去するときに確認しておきたいことをまとめます。
退去前
□ 部屋の掃除をする
□ 入居時のétat des lieuxを確認する
□ 入居時の写真があれば見直す
□ 家具・備品の状態を確認する
□ 壊れているものがないか確認する
□ 電気などの契約終了について確認する
□ 住宅保険の手続きを確認する
□ 家賃保証サービスなどの契約を確認する
退去立ち会い当日
□ 退去時のétat des lieuxを確認する
□ 指摘された箇所を確認する
□ 入居時の状態と比較する
□ 分からない内容はその場で確認する
□ 書類の内容を理解してからサインする
退去後
□ デポジットの精算内容を確認する
□ 差し引きがある場合は内容を確認する
□ 各種契約の解約が完了しているか確認する
□ 必要な書類を保管する
退去直前は引っ越しだけでも忙しくなります。だからこそ、「最後にまとめてやろう」と思わず、退去が決まった時点から少しずつ準備しておくことをおすすめします。
パリでの住居サポートも、実は「入居して終わり」ではありません
私はパリで、日本人のお客様の住居探しや賃貸契約に関するサポートだけでなく、入居後のさまざまなご相談にも対応しています。
今回のような退去立ち会いでは、
退去時の通訳
état des lieuxの内容確認
担当者とのコミュニケーション
お客様への補足説明
退去後のフランス語でのやり取り
デポジット精算に関する確認
電気・保険などの解約手続きのサポート
など、状況に応じてサポートしています。
特に大切にしているのは、「ただ通訳する」のではなく、お客様自身が状況を理解し、納得して手続きを進められるようにすることです。
フランスで暮らす・働く日本人の「困った」をサポートしています
私の仕事は、ご入居までのサポートだけではなく、パリで生活する日本人の方がフランスの仕組みを理解し、必要な場面で適切に対応できるようにサポートすることだと考えています。そして、日本企業がフランスでビジネスを行う際にも、日本とフランスの商習慣やコミュニケーションの違いを理解したうえで、現地での実務をサポートすることだと。
これまで私は、フランス市場でのビジネスコンサルティング、海外進出支援、市場調査、展示会サポート、フランス企業とのコミュニケーション支援などにも携わってきました。
フランスでは、「言葉が分かれば解決する」ということばかりではありません。相手が何を前提に話しているのか。どこを確認すべきなのか。日本の常識とフランスの商習慣のどこが違うのか。
そうした「間に入って整理する役割」が必要になる場面がたくさんあります。住居でもビジネスでも、私は日本人のお客様がフランスで不必要な不利益を受けたり、コミュニケーションの行き違いで困ったりすることがないよう、現地側との橋渡しをしています。
パリでの生活やフランスでのビジネスについて、「日本ではこうだったけれど、フランスではどうすればいい?」という疑問があれば、お気軽にご相談ください。
AllofranceJPでは、フランスで暮らす方・フランスでビジネスを始める企業の双方に、現地にいるからこそできる実務的なサポートを提供しています。
⭐︎筆者について
Allofrancejp 代表 萩野アリサ
イギリス留学後、就職を機にパリへ移住。現在はパリを拠点に、日本企業のフランス進出サポートや展示会、視察同行、駐在員の住居探しサポート・生活セットアップなど、現地サポートサービスを提供しています。→会社概要は、こちらから。





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